一橋大学教職員組合

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くみあいニュース No.1(2019年6月期) 5.30 第 2 回学長交渉報告!

 5月30日(木)16:00から17:00まで、法人本部棟7階大会議室にて、2018年12月期の第2回学長交渉をおこないました。

 今回は、付議事項を労働条件に関わるものに限定し、表現も工夫しました。前回交渉で得た新情報を掘り下げたり(付議事項3・4・7・8)、新しく生じた論点を加えたり(同12・14)、繰り返し付議している事項(同1・2・5・6・9・10・11・13)を違う角度から聞いてみたり(同1・2)しました。付議事項の正確な文言については、2018年12月期「くみあいニュース」No.6をご参照ください。

 また、時間配分を意識して交渉に臨んだ結果、当局による回答提示の時間を短縮し、1時間の交渉の大部分を議論に充てることができました。そこからいくつかの成果が得られましたので、ご報告します。

今回のポイント

成果

① 英文の雇用契約書と労働条件通知書が、事務担当者に申し出ることにより、契約教員に対しても発行されるとの、明確な発言があったこと(付議事項13)

② 契約更新限度を超えた契約職員・パートタイム職員が、1年空けることなく、その時点における本学の求人に応募すること自体は、制限されていないとの発言があったこと(付議事項4)

問題点

① 契約職員・パートタイム職員の募集要項への、「任期満了による退職後は1年空けないと採用不可」との記載が、拒否されたこと(付議事項3・4)

② ねぎし保育園入園資格に関する「試行期間」の終了予定時期および終了の条件について、回答が拒否されたこと(付議事項8)

③ 本学における無期転換権行使者および研究開発力強化法適用者の「人数」の開示が拒否されたこと(付議事項5・6)

④ 祝日特例法による休日に関する、日給制や時給制の教職員への有給休暇別途付与が拒否されたこと(付議事項12)

 

【有期雇用職員の雇用期限撤廃】(付議事項1・2)

 当局の回答は従来どおり、継続的に存在している業務に関しても、組織の改廃等によって、今後も継続的に同規模の業務が存在するかは不確かであるため、後任の補充は、真に必要性が認められる場合にのみ、その都度確認のうえ、認められるとのことでした。今回新たに、他法人のとり組みに触れながら問うたことがらへの回答は、拒否されました。

 それに対して組合は、近隣の他法人との労働条件の差が、優秀な人材の確保や定着(任期一杯の就労)を困難にし、短期間に募集・採用・トレーニングがくり返されることで、他の職員の負担が大きくなるなど、職場全体の労働環境の悪化を招いていると訴え、職場全体の利益に関わる問題として見解を質したものの、直接的な回答は得られませんでした。

【有期雇用職員の退職後再応募の制限】(付議事項3・4)

 当局の回答は、有期雇用職員の雇用期間の上限は、募集の段階で3ないし5年と明示しており、業務の属人化や特定の個人への過度な依存を防ぐため、以前と同じ業務か否かにかかわらず、同一人の再採用を前提としていない。従来、再採用となる場合は、本学との雇用関係が最低でも1年空いていることを前提としていたが、20134月以降、労働契約法による6カ月のクーリングに倣って、手続きを進めてきた。だが、これまでの交渉のなかで、この取り扱いは無期転換逃れ、脱法行為ではないかといった趣旨の発言があったため、そのような疑念をいだかれないよう、従前に戻した。通知の内容は、採用手続きの取り扱いを整備したものであり、採用案内等で示す性格のものではない、というものでした。

 組合としてはやはり、6カ月であれ1年であれ、クーリング期間を設けて5年を超えた雇用が生じない仕組みをつくり、その運用を徹底しようとしていることには変わりはなく、従前に戻すことが現行法下で適法だとなぜいえるのか、理解に苦しみます。当局は最後に、再採用は前提としておらず、むしろ1年空けることで、再採用ができるようにしているのだと説明しましたが、到底納得できるものではありません。(裏面へつづく)職員組合に加入しませんか。教員、職員、助手、パートタイム職員、契約職員… 誰でもいつでも加入できます。

 また、現状では再採用をめざして応募すること自体は可能であるため、該当者は、通知の存在を知らずに、脈のない応募のために無駄に時間を費やすことになりかねません。そこで、どうしてもクーリング期間を設けるのであれば、募集に際して、あらかじめクーリング期間の設定があることを報せるべきではないか、と食いさがりました。そのやりとりのなかで、①通知の内容は現職の有期雇用職員にも周知されている、②再応募自体を制限するものではない、③クーリング期間を設けていることが法的に問題だとは考えていない、との当局の認識が明らかになりました。

【無期転換権行使者等の人数の開示】(付議事項5・6)

 問題点③にあげたとおり、当局は「大学の管理運営に関する事項であり個人が特定される恐れもある」として、両方とも開示拒否しました。組合は、無期転換権の有無は労働条件に関わる事項であると認識しており、大学の管理運営に関する事項であるとの回答は納得できません。個人特定可能性のより大きい、月45時間以上の時間外労働をした事務職員の人数は月別に開示できるのに、なぜこちらは開示できないのでしょうか。現に、2017929日の学長交渉では、無期転換権を有する者が「数名」いるという回答がなされています。

 なお、研究開発力強化法に基づく無期転換申込権発生10年特例の該当者については、上記2017年の学長交渉時は「適用者なし」との回答でした。回答が後退していることを厳粛に受け止め、対策を立てて今後の学長交渉に臨みます。

【ねぎし保育園入園資格に関する「試行期間」の終期】(付議事項7・8)

 組合から、常勤教職員のみに入園資格を認めることが、非正規の教職員に対する差別とならない理由を問いました。また、現在は入園定員を定めるための試行期間であることが前回学長交渉で示されたのを受けて、試行期間はどういう条件の下でいつ終わるのかを問いました。

 ところが、当局は2つの付議事項に対してまとめて回答すると言いつつ、試行期間の終期については回答しませんでした。そして、回答ができなくなったのは、付議事項に「差別」という文言を盛り込んだ組合側の責任であるという謎の論理を展開しました。今後は、こうした膠着状態を脱し、入園資格の拡大という具体的な成果を得ることを目指して、この問題に引き続き取り組んでいきます。

【非正規職員の待遇に関する諸要求】(付議事項9~12)

 非正規職員の看護休暇・介護休暇の有給化、および年末年始並びに夏季一斉休業期間の有給化の要求に対し、「国家公務員の非正規職員と同じ待遇であり現行維持が適切」との従前どおりの当局の回答でした。特に看護・介護休暇に関しては、仕事と家庭の両立支援という育児・介護休業法の趣旨にのっとり粘り強く交渉を継続していきます。一方で、国家公務員の非正規職員の育児・介護休暇を有給化するよう運動することも、必要と思われます。

 契約職員、パートタイム職員の半日休制度の要求については、「1日の所定勤務時間は個別であり半日の統一的定義は難しい」との回答でした。これについては、要求する休暇制度を再検討することが考えられます。例えば、看護休暇・介護休暇は法律上は半日(所定労働時間の1/2)単位で取得できることとなっていますが、労使協定により所定労働時間の1/2以外の「半日」とすることもできます。それにならい、様々な勤務時間帯について半日のモデルを作り、労使協定を要求することが可能です。それとともに、標準的な勤務時間を、例えば16時間の場合は、9:3016:30から9:0016:00に変更する等を要求することも考えられます。

【英文雇用契約書・労働条件通知書】(付議事項13)

 組合は、非日本語母語話者に対して、英語版の雇用契約書・労働条件通知書を発行し、就業規則の英語版も作成することを求めました。これに対して当局からは、従来から発行している外国人研究員だけでなく、契約教員についても、要望があれば英語版を発行していると回答がありました。非常勤講師については、現状では発行していないが、引き続き十分な検討を行っていきたいと回答がありました。そして就業規則については、改正が頻繁であるため現時点では英訳は考えていないと回答がありました。この点について組合は、要望に応じて英語版の発行を受けられることを、大学側から契約教員に通知するよう要求しましたが、認められませんでした。

 しかし、契約教員が担当部局に要望すれば発行されることがわかったのは、今回の交渉の成果といえます。今後は、組合ができるやり方で、各部局の契約教員にこのことを伝えていくと共に、非常勤講師に対しても同様の扱いをするよう、引き続き要求していきます。

【無期雇用転換後の者の労働条件】(付議事項14)

 組合は、この4月に無期転換した職員につき、これまで毎年契約更新のたびに繰り返されてきた昇給がなくなったことについて、これは労働契約法20条の精神に反する差別であり、同一労働同一賃金の実現にも逆行するので、これまで通り昇給させるよう要求しました。これに対して当局からは、個別のケースを離れた一般論として、契約職員の給与は個別契約書でその都度決定するのでそもそも昇給という概念がないこと、無期転換となった職員の労働条件は、直前に締結していた有期労働契約の労働条件と同一にとどまること、無期転換制度の手引きでも、契約職員が無期転換した場合、毎年の給与月額見直しはしないと周知してあることが回答されました。

 組合は議論の時間をとり、上記のような形式論はともかく、実質的にはこれは昇給の停止ではないのかと質しましたが、当局の見解は変わりませんでした。状況を変えるのは容易ではありませんが、無期転換後の者の労働条件を今後も注視していきます。