一橋大学教職員組合

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くみあいニュース No.5 3.19第1回学長交渉報告!

 2019年3月19日(火)16:00から17:00まで、法人本部棟7階大会議室にて、今期最初の学長交渉をおこないました。 
 今回は、限られた時間の中で、当局と実質的な対話をすることを目指しました。そのために付議事項を絞り込みました。残ったのは、労働条件等に関して各職場から要望が上がった事項(付議事項4~9、13)と、ぜひこのタイミングで当局の見解を質しておきたい事項(同1~3、10~12)です。付議事項の正確な文言については、「くみあいニュース」No.3(申入書提出)をご参照ください。
 当日はいくつかの点で成果がみられた反面、残念な回答や従来通りの回答しか得られなかった点、回答を拒否されてしまった点もありました。そうした点に関しては、今後とも粘り強い取り組みが必要です。

今回のポイント

成果

① 契約期間の満了した契約職員・パートタイム職員に対し、次の応募まで1年空けるよう要請する根拠が、2018年11月19日の学長裁定であることが判明したこと(付議事項5)

② 超過勤務手当は、全学予算であろうと部局予算であろうと、適正に支払うのが当然であるとの明言があったこと(付議事項7)

 

問題点

① 新任教員オリエンテーション休憩時間中の、会場内での平穏なチラシ机上配布が全面拒否されたこと(付議事項1~3)

② 3年ないし5年の雇用期限撤廃が拒否されたこと(付議事項4)

③ ねぎし保育園入園資格の非正規教職員への開放が拒否されたこと(付議事項9)

アウティング事件判決後の取り組み(付議事項10)、将来構想(同11)、運営費交付金の傾斜配分方針(同12)について、回答が拒否されたこと

⑤ 定年延長は国の動向を見守るのみであると回答されたこと(付議事項13) 

【新任教員オリエンテーションにおけるチラシ配布】(付議事項1~3)
 組合からは、まずオリエンテーションの開催要項の開示を要求し、次に、オリエンテーションの休憩時間中に、会場内で平穏に組合勧誘チラシを机上配布することの許諾を求めました。その際、同チラシ(日本語版)の文面を当局に開示しました。そして最後に、上記2つの要求が認められない場合、配布資料に同チラシをセットすることを要求しました。これに対して当局は、オリエンテーションは勤務時間内におこなっており、その休憩時間は休息に専念できるようにすべきであり、教職員組合が勧誘行為等をおこなうことは適切ではないと回答しました。また、オリエンテーションに関係のない資料を配布するのも適切ではないと回答しました。
 ここは時間をとって議論しました。組合は、静かにチラシを置くだけであり新任教員の休息を妨害するような勧誘活動はしないこと、2014年度にはオリエンテーションに関係ないともいえる資料がセットされていたことを示して反論しましたが、当局の回答は変わりませんでした。
 他大学では、オリエンテーションの中で時間をとって、あるいはその休憩時間中に、組合から声を出して説明することが認められています。休憩時間中におこなう場合は、説明を聞くかどうかは参加者の自由に委ねられているようです。それと当局の姿勢には大きな隔たりがあります。この問題を引き続き、適切な時期に学長交渉に付議するとともに、オリエンテーション当日には、大学の協力なしでできる範囲の宣伝行動をとることを計画しています。

【有期雇用職員の雇用期限撤廃】(付議事項4)(くみあいニュースNo.4 (学長交渉速報)参照)
 組合より、3年ないし5年の雇用期限の撤廃と、勤続5年を超えた有期雇用職員の無期労働契約への転換を要求しました。そして、もし現行制度を維持するなら、労働契約法の趣旨に即した合理的な理由を示すよう要求しました。それに対し、当局からは、大学の運営上必要な組織の改廃等により、業務が今後も継続的に同規模で存在するかどうかは不確定なので、現行制度を維持するとの、従前通りの回答がありました。この点は、以下の付議事項5や6に関する議論の前提となります。特に付議事項5との関係では、今後も粘り強く付議していきます。

【任期切れ直後の再応募をさせない根拠】(付議事項5)(くみあいニュースNo.4 (学長交渉速報)参照)
 組合からは、契約期間の満了する契約職員やパートタイム職員のうち、再応募を希望する者に対して、一部の職員が「退職から1年間空けないと採用できない」と説明していることの根拠を質問しました。
 これに対し当局は、以下のように回答しました。すなわち、業務の属人化や特定の個人への過度の依存を防ぐため、従前より、本学に雇用されことのある人は、以前と同じ業務があるかどうかにかかわらず、本学との雇用関係を最低でも1年は空けて雇用していた。しかし、部局の要望によって2013年4月以降、間隔を6ヶ月に変えて運用するようになった。ところがこれまでの交渉の中で、この取扱が無期転換を逃れるための脱法行為ではないかと指摘されたので、今後は学内外からそのような疑念を持たれないよう、従前の運用に戻した。その根拠は、2018年11月19日付けの学長名・各部局長宛の通知である、と。
 この点は、今回の学長交渉で初めて得られた情報で、最大の成果といえます。議論の時間のほとんどが、この点に費やされました。その中で組合は、この運用をとるのなら、再応募するには1年の空白期間を強いられることを、採用関係書類やウェブサイトに明記して対外的に明らかにし、採用の際に本人に説明するよう要求しました。任期切れ後の1年の空白が伏せられた状態での求人は、フェアではないからです。この要求には、当局からの反応はありませんでした。
 議論を通じて、組合と当局の認識の隔たりがたいへん大きいことが確認されました。しかし、この運用が無期転換を認める現行労働契約法の趣旨に合致するかどうかは、単なる「認識の違い」では済まされないと考えられます。次回学長交渉で引き続き付議するとともに、顧問弁護士からの法的アドバイスを得ることも考えています。交渉の行方は、皆様からのご支持にかかっています。

【無期転換の手引きにおける記載】(付議事項6)
 組合から、従前はプロジェクト関係の雇用では上限がなかったところ、『無期転換制度の手引き』8頁で、契約事務職員の雇用期間の上限が通算3年とされていることにつき、方針の変更があったのか、その根拠は何かと質問しました。当局からは、非常勤職員の契約書あるいは労働条件の通知書において最終更新限度を明示することは労使双方にとって望ましい、そして付議事項4への回答で述べたとおり、契約事務職員の雇用期間の上限は、業務にかかわらず一律に3年である、との回答がありました。

【勤怠管理システムの助手等への拡大とそれに伴う超過勤務】(付議事項7)
 試行期間終了にあたり、試行結果の意見集約とフィードバックを当事者並びに関係部局に対しておこなうこと、また適正な労務管理の観点から超過勤務手当は部局予算ではなく全学の人件費にて保証することを組合から要求しました。当局からは、試験導入から3ヶ月間特段の支障が生じているということもなく意見聴取等の必要はないと考えていること、また、全学予算であろうと部局予算であろうと大学の予算であることには変わりがなく、超過勤務手当は適正に支払うのが当然であるとの回答がありました。

【契約職員・パートタイム職員の半休】(付議事項8)
年次有給休暇取得の単位が1時間となっており、契約職員・パートタイム職員においては、例えば9:30始業の場合、勤怠管理システムの都合上、午後半休の場合は11:30に勤務を切り上げるか、午後の13:30まで勤務せねばならないなど適切な業務遂行に支障をきたしているため、半休および勤怠管理システム上の休憩時間変更を認めるよう組合から要求しました。当局からは、労働基準法で休憩時間は一斉に与えねばらないとし、労使協定により、一斉付与の適用を除外することとした窓口業務等につく一部の職員を除き、休憩時間はこれまで通りとするのが望ましいとの回答がありました。また、勤怠管理システムは、これまでの勤務制度を反映しているものであるため、システムによって制度が変化したことはないとの発言がありました。

【ねぎし保育園入園資格の制限】(付議事項9)
 組合より、ねぎし保育園の定員が埋まったことがほぼないにも関わらず、契約教員・契約職員の応募資格を認めないことについて、合理的な理由があれば示すよう要求しました。当局からは、2017年度から入園を開始した事業で、今は試行期間中であり、まずは常勤職員を対象として利用状況等を見極めてから、今後のあり方について検討することを考えてみたいと回答がありました。

アウティング事件判決後の対応】(付議事項10)
 2016年3月に大学ほか1名を被告として提起された民事損害賠償訴訟のことについては、教職員の労働条件と直接関係するものではないとして、回答を拒否されました。

【本年1月教授会で公表された将来構想の学内的拘束力】(付議事項11)
 当該案件については、教職員の労働条件と直接関係するものではないとして、回答を拒否されました。

【運営費交付金の「傾斜配分」方針への対処】(付議事項12)
 予算配分に関しては、大学経営に関する事項であるとして、回答を拒否されました。

【定年延長の検討状況】(付議事項13)
 当該案件については、国で検討がなされていると聞いているので、まずはその動向を見守りたいとの回答がありました。